配属された部署で、仕事にも人にも慣れずに、私は毎日、疲れていた。仕事は何とかこなすことができていたが、人間関係には本当に疲れていた。苦手な人がいるわけではなく、まだ自分を出して話せる相手がいないため、いつも緊張していた。そんな矢先、上司から人事研修を行うための資料を作成して欲しいと頼まれた。資料を作成することや、裏方のような仕事は大好きな私。笑顔で仕事を引き受けた。この資料を作成している間は、集中して頭が1人になれる気がした。
人事研修の資料の作成が終わり、上司に確認をしてもらうと、教える方も、教わる方も両方にとっていい資料だと、褒められた。小さい子供は誉められて伸びると言うが、大人だって誉められると成長するものだ。私は嬉しくなり、もっと仕事を頑張っていこうと思えた。この部署に、まだ慣れずにいて、心も体も疲れていたが、その疲れも飛んでいくような気持ちだった。もしかしたら上司は、そんな私に気付いていて、わざと私に、この仕事を依頼してくれたのだろうか。だとしたら、部下を本当に見てくれている人だと思った。
人事研修の資料を作成したこともあり、人事研修の補佐役として、上司に付き添うことになった。2週間の人事研修が無事に終わり、社員で飲みに行くことになった。車で来たため、お酒を飲む予定ではなかったが、代行で帰れば問題ないと上司から言われ、私は久しぶりにお酒を飲んだ。車で来たときは一切お酒を飲まない私は、代行を今まで利用したことがない。この部署にきて、新しい経験をすることが多いなと、お酒に酔ってきた頭でぼんやり考えた。代行は上司が手配してくれ、お金まで出してもらった。張り詰めて仕事をしていた私を、気に掛けてくださった上司の優しさが嬉しかった。